廣井正義 気ままなビジネスブログ

海外支援経営コンサルタントとして、日々思うことを書いてます

台湾進出企業の支援 その1

1年以上前の2014年秋に、あるご縁で支援させていただくこととなったある企業。企業側の希望は、現在の日本のビジネスモデルをそのまま台湾に持ち込み、台湾でFC展開を行うというもの。

この会社のグループ会社は、日本で独自のFC展開をしており、多くのFCに関するメニューを持っている。

一般にFCといえば、直営のモデル店があり、そのノウハウや仕入先の紹介、販売する商品やサービスの内容、看板等々を提供し、ロイヤルティを得るというもの。そしてそこには加盟金というものも存在し、それを支払うことでビジネスをスタートさせるための様々なノウハウの提供が受けられ、少ない投資で既に完成された、あるいは成長しているビジネスに参入できる。しかも何のノウハウも持たなくても、わずかな資金とやる気があれば、誰でも(とは言わないが)ビジネスがスタートできる。

そこのFCは、そういったFC独特の制約条件も場合によっては結構外すことが出来、独自のビジネスも可能となる。しかし、ノウハウは提供してもらえるので、努力次第では自分の思い描いているビジネスが展開できるのだ。

しかし、台湾と言っても外国である。元々文化や教育、習慣も違えば、ものの見方や考え方も違う。日本の考えをそのまま持ち込み、日本とお恥感覚でビジネスが展開できるかといえば、そうはいかない。台湾は、近いようで結構遠いのである。ビジネスに対する基本的な考え方は、日本とは全く違うのだ。

日本で何回も打ち合わせを行ってきているが、最初のころは意見の対立も多かった。基本、私の立場はあくまで支援者だ。企業トップの考え方や夢は尊重し、可能な限りその思いや夢をかなえるために動く。しかし、失敗はさせるわけにはいかないのだ。なので、意見の対立や葛藤は起こるのだ。

直営店の運営、現地のビジネスパートナーとの関係作り、FC展開の方法、屋号やロゴ、店舗づくり、立地、ロイヤルティ等々、さまざまなところで意見がぶつかる。

しかし、思いは一つだ。ビジネスを成功させたい!そういう思いで支援をしている。

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台湾進出企業支援 その2 現地調査

日本でのいろいろな打ち合わせや資料の収集も進み、いよいよ現地視察となった。企業の経営者は台湾視察はもう5回目ほどである。

今回の視察は、企業経営者が縁あって接点を持った台湾人実業家への訪問、日本の出先機関訪問、企業経営者が以前からコンタクトのある日系現地コンサル会社訪問と市場調査だった。

台湾人実業家との面談では、その実業家が10名ほどの日本のビジネスに興味を持った仲間を募り、ビジネスプランの説明となった。日本サイドのビジネスモデルの説明のさなかに、ある台湾人が口を挟んだのをきっかけに、台湾人実業家同士で自分のビジネスを自慢しだし、収拾がつかなくなる場面も発生。頃合を見計らって”あんたらのビジネスの自慢話を聞きに来たのではない”と私が一括し、何とかおさまったが、さすがにその日本人経営者は面を喰らったようだ。しかし、これが台湾人なのだ。

その後もいろいろな情報を集めたが、一番の成果は場所だった。

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天母という日本人が多く住む台北郊外の街を案内したところ、その場所がお気に入りの場所となった。まずは是非ここでビジネスがしたいという気持ちが強くなったようだ。

しかし、その後思わぬ方向に持っていかれそうになるのだ・・・。

 

台湾進出企業支援 その3 仕切り直し

当初日本サイドは2名の日本人が台湾進出を模索していたが、先の現地視察で1名が完全にやる気を失ってしまった。言葉の問題なのだ。当初やる気満々だったが、現地視察の結果、言葉の問題に気づき(そんなのは当初から分けっていたはずだが、初めて実感したのだろう)、台湾進出ビジネスから降りてしまった。

そして、とある理由で私の支援も4か月ほど止まってしまったのだ。一人になった社長はどうしようもなく、そのまま頓挫。

どうにか空白の4か月間を経て、ようやく私も再参画することとなり、仕切り直しでリスタートとなった。

具体的なビジネスプランに話が進むと、その1でも記したように、いろいろな意見対立が発生した。

基本、経営者の夢をかなえたい。思い描いている夢を実現させたい。という思いは強いので、意見は言い、リスクも説明し、提案もするが、最終的には経営者の意思決定である。まずはその様に進め、2回目の台湾同行となるのである。

その少し前に、経営者のビジネスパートナーが新たにミッションに加わることとなり、再び2名体制で進むこととなった。これは心強かった。

そうして、2回目の台湾出張に同行することとなる。今回のアポイントは、訪問先は提案するが、基本アポイントと訪問目的等は企業側に全てやってもらうようにした。台湾進出が現実的となってきたので、本人自ら動くことをしないと、人任せでは進出後に何もできなくなってしまうリスクを避けるためである。

今回は自ら開拓した新たな日系コンサル会社2社を含め、合計3社のコンサル会社を訪問することとした。更には日本人工商会にもアポイントを入れた。私が強く推した邦銀の現地支店は、経営者の意向で保留となった。

現地訪問では、いよいよ企業登記も含めての具体的なビジネスモデルの実現可能性やそのためのアレンジ支援等々のヒアリングとなった。

各社ともそれぞれ特徴があるので様々であるが、各訪問先でいただく意見は、やはりFC展開の方法についてである。

直営店の是非、共通ロゴや屋号、店舗デザイン、商標、立地等々、ヒアリングが進むにつれて、やはり私の言う内容にだんだん近づいてくる。最終的には、私が説明、進言した通りの内容でのビジネスモデルになりそうである。しかし、ここに来るまでも経営者は、真剣に自らのビジネスモデルについて検討し、試行錯誤を繰り返してきたはずであり、素晴らしい発想や信念を持っている。私との違いは、ほんのわずか、私が海外ビジネスに経験とノウハウを持っていただけのことである。

私がいつも思っており、心がけていることは、結局は”答えは企業経営者の中にある。私はそれを引き出し、気づきを与えるだけである”ということだ。

商標については、どこまで押さえるかの意見はまだ対立したままだが、これもいずれ近いうちには解決しなけばならないことである。

基本的には、あと1か月で私の手から離れる予定ではあるが、是非それまでに道筋はつけたいと思う。

 

中国進出企業支援の現地視察

この企業は、1年+α、中国進出支援をしている。進出形態や様々な問題もあり、実務としてはなかなか進まないが、ヒントを探りに2015年12月に北京と天津に出かけた。

北京空港に到着して、まず困ったのが、両替レートが悪い!以前は日本円1万円を出すと700元以上もらえたこともあったが(2007年頃?)、今回は500元を下回っていたのだ!1万円で200元の差はでかい。200元あるといろいろなことが出来る!

市内にはタクシーで行くこととし、空港でタクシーに乗り込むと、ホテルの場所をタクシーの運ちゃんが知らないというのだ。道路の名前は幸福路という非常にいい名前で、天譚公園の近くなので、誰でも知ってると思ったのに・・・。お恥ずかしながら私の中国語が鈍ったのか?と思い、住所を見せても”知らない”という。

タクシーを変えてさらに運ちゃんに聞くと、それでも知らないという。もう仕方がない、天譚公園の近くまで行ってくれ”ということで乗り込む。

市内に入り、進むと、行く方向は合っている。”運ちゃんが電話を貸せ”というが、こちとら日本の携帯しか持ってない(海外でも使えるのだが(^^;))ので、”持ってない”というと、しぶしぶ自分のスマホで仲間に聞いていた。ホテルの電話番号は控えてあったので、それを伝えると自分でホテルに直接電話して聞いていた。私も初めてのホテルなので場所がはっきりわからなかったが、着くとホテルは道路から少し奥まっていて、道路からだとよく見えない。なるほど、ホテル自体を知ってないと難しいかもしれない。しかし、幸福路ぐらいわかるだろ!と思い、行ってみると幸福大街であった。”大”くらい無くてもわかってよっ”。

翌日は、中国版新幹線に乗って、天津に行く。なので、前日にホテルの人に切符売り場を聞いて、買っておいた。以前は駅に行くとすぐ切符がかえたが、最近は乗る人が多くて当日だとなかなか乗りたい時刻に買えないらしいのだ。しかも、今では外国人はパスポートがないと切符を売ってもらえない。切符にはパスポートナンバーの一部と名前が打たれる。今回お連れした企業経営者は、中国新幹線は初乗車だ。

朝、北京南駅まではタクシーで向かい、そこから乗車だ。北京南駅は北京オリンピックの際に新たに建てられた近代的な駅だ。

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乗った新幹線は、日本のはやて型でなく、欧州新幹線のコピー版だった。これに乗車し、専用軌道を300kmで天津まで走る。わずか40分ほどで天津に着く。

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車内の造りままあまあで、社内販売もある!ただ、300kmも出して、本当に大丈夫かいな?もっとゆっくりでもいいのに。耐久性が心配で、いつ分解するか心配なのだ。だが、実際は音も静かで振動もほとんどなく、快適な社内である。

天津では市場調査と材料調査だ。材料はどのレベルの材料が揃うのかが課題であり、今回は実際に卸売会社を訪問し、サンプルを入手しようというもの。探しているのは、食材だ。住所を頼りにタクシーでおよその場所まで連れて行ってもらい、そこから足で探すことにした。探しても探しても見つからず、諦めかけた頃に見つけたのがその会社の看板。そうこのようだが、完全に閉まっている。反対側に回ってみようということになり、行くとようやく見つけた!

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聞くと、サンプルは買えるという。さっそく物色し、必要なサンプルを購入することとした。これが今回の一番の成果だ。食材はなかなか一般のスーパーでは入手できないのだ。しかも、進出希望先は少し地方なので、そこで探すのは至難の業。そこで今回は首都圏での調査となった。探すことが出来、本当に良かった。あとは、まずは日本に持って帰り、試作を繰り返すこととなる。経営者に伝えたのは、同じ原材料でも水が違えば出来栄えも違うということ。本当は中国の水で試作することが望ましいのだ。

これで少しは事業計画が進むことだろう。そして次は、いよいよ本格的な展開プランの実現である・・・。